おっさんずラグ~大切なことはみんなラグビーが教えてくれた。 おっさんずラグ~大切なことはみんなラグビーが教えてくれた。

本城 和彦 Kazuhiko HONJO
(日本テレビ スポーツ局専門局長)

テレビマンとしてワールドカップをサポートする
80年代日本ラグビー界のスーパーアイドル!

2019.06.06 Thu

「おっさんずラグ」第1回は、1980年代に空前のラグビーブームを巻き起こし、女性誌からも取材が殺到した本城和彦さん。今はテレビマンとしてラグビーワールドカップをサポート! 

───本城さんは現役の頃、ラグビー界のアイドルだったそうですね。

 

本城 御社の『Seventeen』のおかげです(笑)。高校時代、いちばん最初に大きく載せてくれたし、大学時代もよく取材していただいた。当時はスポーツ誌に限らず、いろいろな雑誌がラグビーを取り上げてくれたので、そうなるとムーブメントが起きますよね。今とはちょっと違うブームでした。

 

───スターがいたからでしょうね。ラグビーを始めたきっかけは何ですか?

 

本城 父の影響ですね。いちばん最初にラグビーボールにさわったのは2歳ぐらい(笑)。
父は早稲田大学で野球をやっていましたが、ラグビーが好きで。子どもの頃によく早稲田の試合を観に連れて行ってくれました。だから“ラグビーファン”というよりも“早稲田ラグビーファン”。「早稲田でラグビーをやるんだ!」と子どもの頃から思っていました。

 

───子どもの頃にいろいろなスポーツをしたようですが、その中でいちばんラグビーが面白いと思ったのはどうして?

 

本城 ラグビーってほかの球技と違って、ひとつの競技の中にいろいろな要素がありますよね? パスを出す、ボールを持って走る、人と当たる、タックルをする、スクラムを組む、ボールを蹴る…。プレーが多様で面白いじゃないですか。中でも、本能のままにボールを持って走る自由さ、爽快さに惹かれました。サッカーもやっていたんですが、足だけでボールを扱うのがあまり巧くなかったからそう思ったのかもしれませんね(笑)。

学生時代は『Seventeen』や『明星』、社会人では『週刊プレイボーイ』と集英社の雑誌だけでもこんなに!

───早稲田へのこだわりはどこから?

 

本城 早稲田のゲームはボールがよく動いたんです。スピードがあった。大きい明治、小さい早稲田というチームカラーが当時は濃くて、小さい選手が大きい人たちに立ち向かっていく戦略性や懸命な姿にも心を奪われました。

 

───大学時代は本城さん目当ての女性ファンが競技場に大勢押し寄せたそうですが、アイドル的に見られることをどう思っていましたか?

 

本城 話題になるのは嬉しいことですよ。自分達のエネルギーにもなっていました。「何であいつばかり?」と思われていたかもしれませんが(笑)、自分のチームに関心が集まれば、士気もあがる。でもそこはあまり意識しませんでした。

 

───80年代は一大ラグビーブームで、にわかファンも多かったと思います。前回のイギリスのワールドカップでも、日本が強豪の南アフリカに勝利し、五郎丸歩選手の活躍もあってにわかファンが急増しました。本気でラグビーをやっている人にとって、にわかファンの存在はどのようなものでしょうか?

 

本城 もちろんウェルカムです! ラグビーワールドカップ2019日本大会™の成功だけでなく、その後もメジャースポーツとしてラグビーが発展していってほしい。今、プロ選手も増えてきていますが、彼らがもう少しラグビーでご飯が食べられるようになるといいなと。そのためには世の中の人の後押しが必要ですから、にわかファン、大歓迎(笑)!

憧れの早稲田大学「アカクロ」ジャージに身を包んだ本城さん

───ラグビーはルールが難しいというのがひとつハードルですが…。

 

本城 僕もこの間、知人に試合を解説していて「ラグビーって面倒くさい!」と(笑)。「ボールを前に投げてはいけない」「前に落としてはいけない」「ボールより前からプレーしてはいけない」「寝ながらプレーしてはいけない」と、このぐらい押さえておけば大丈夫。

 

───前にパスできないって不思議なスポーツですよね(笑)。にわかファンはどういうふうに観たら、楽しめますか?

 

本城 プレーがバラエティに富んでいるから、「私ってこういうことが好きよね!」と思うポイントを見つけたら、観るのがすごく楽しくなると思いますよ。ボールが動いていくのが好きという人もいれば、大きな人がガンガンぶつかり合うのが好きという人もいる。

 

───好きな選手を見つけるというのもありですよね。

 

本城 そうです! 選手もガタイのいいむさくるしいタイプから走るのが得意なシュッとした人まで、バラエティに富んでいますから。ラグビーは「人間の持っているすべての能力をフルに使ってやる競技」で、そこに魅力があります。

 

───ところで、社会の第一線で活躍している人にラグビー部出身が多いのはどうしてですかね?

 

本城 社会性が身につくからじゃないですか。いろんな個性が集まって、同じ方向を向いていかなければならない。しかもただレールの上を走っていくのでなく、自分で判断しなければいけない局面もたくさんあります。

 

───チームが一丸となるためにはどんなことが必要ですか?

 

本城 チームとしての明確なヴィジョンを出すことですよね。スポーツは、頭で理解したことを最終的に身体でできるようにならないと極められない。単に身体が自然と動くようになるだけでも駄目。そのために段階的に目標をたて、練習ドリルに落とし込み、ひとつひとつクリアしていく…。戦略的に緻密に創り上げていき、最後は志と情熱、そして気合と根性。

 

───仕事と同じですね! ラグビー経験者の方は出逢うと、すぐ打ち解けますよね。

 

本城 確かにその瞬間に距離がぐっと縮まります。競技人口が少ないから、仲間意識は強いかもしれません。

日本テレビ、スポーツ局のデスク。背後にはラグビーワールドカップ2019日本大会™までの日数カウンターが

───プレーには荒々しいところもありますが、ラグビーには選手も観客もどこか紳士的なムードを感じます。

 

本城 ラグビーの歴史や文化が、知らず知らずのうちにしっかり伝わっているからだと思います。試合中に選手がレフリーに詰め寄ったりすることもありませんし、観ているお客さんもお互いのプレーや勝利を讃え合う。

 

───知人がイギリスでラグビー観戦をしたとき、誰ともなく歌いだしてやがて肩を抱き合って大合唱になるという場面があり、とても感動したそうです。

 

本城 イギリスにはそういう観戦文化の積み重ねがありますからね。今回のワールドカップは同じような経験ができるいいチャンスだと思います。

 

───最後に、にわかファンにラグビーワールドカップ2019日本大会™に向けてのメッセージを!

 

本城 皆さんに少しでもいいから関心を持っていただき、スタジアムやテレビでゲームを観戦していただきたいと思います。僕は現役日本代表時代、試合前グラウンドで国歌を歌う時が、一番気持ちが高揚する場面でした。是非国歌を聞くところからゲームを観ていただきたい。皆さんも色々感じるところがあると思います。それから東京だけでなく、日本の12都市で開催されるので、開催都市の皆さんには是非、地元で世界的な大会が開催されるということを大いに楽しんでいただきたい。人それぞれにいろいろな楽しみ方ができる競技です。ぜひお気に入りの選手や国を見つけて応援してください!

PROFILE:本城 和彦 1960年7月12日生まれ。富山県出身。國學院大學久我山高校時代からスタンドオフとして頭角を現し、全国高校ラグビーで優勝。高校日本代表にも選出される。早稲田大学でもスタンドオフとして活躍。華麗なプレーで女性ファンを魅了し、数々の伝説を残す。卒業後はサントリーに入社し、ラグビーブームを牽引。元日本代表。現役引退後は、指導者、日本ラグビーフットボール協会の要職、7人制ラグビー日本代表の監督などを経て、現在は男女7人制強化委員長を務める。株式会社ティップネス取締役専務執行役員、2018年から現職。 Interview & Text:Hisami Kotakemori  Photos:Haruka Saito