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姫野和樹が語るトップリーグへの意気込み
「シンプルにジャッカルとかを見てもらえれば」

2020.01.10 Fri

1月12日に開幕し5月まで熱戦が繰り広げられる日本ラグビー最高峰のジャパンラグビートップリーグ(TL)。昨年のラグビーワールドカップで活躍した日本代表29名や、優勝した南アフリカ代表選手など世界各国のスター選手が集い、16チームに分かれて日本一を争う。相手からボールを奪う「ジャッカル」でお馴染みになったラグビー日本代表の若きリーダーNo.8/FL姫野和樹選手も、トヨタ自動車ヴェルブリッツでキャプテンを務めて3年目となる。自身初となったワールドカップでの経験、チームに新しく加入した世界のスター選手やコーチ、悲願の優勝へ向けての意気込みを聞いた。

――やはり、自身初となるワールドカップの経験は大きかったですか?

もちろんです! 実際にプレーしてみて、(準々決勝で敗れた)南アフリカ代表に対して準備したことができなかった。実力不足ということになりますが、それはある意味で手の届かない存在じゃないということがわかった。相手の背中が見えているのだということを肌で感じました。試合が終わって泣いていたのは、勝てると思っていたから泣いたんです。もっと(日本代表は)強くなるはずだと思いました。

――フィジカル強国の南アフリカ代表には、姫野選手も力で押さえ込まれてしまいました。

パスなどがもっと使えたら自分へのマークが薄らいだと思うんです。相手も自分がボールキャリアーだっていうのがわかっていたので(ディエンスが集中した)。そこでディフェンスを散らせるようなスキルとか、パスとか、人を使うプレーを磨かないといけないかなと思いました。 


――ラグビーに対する世間の関心も高まりました。ワールドカップ後の環境はずいぶん変わりましたか? 


街を歩いていてお声がけいただくことも多くなりました。それは本当に嬉しいことだと思います。ラグビーというスポーツに対する関心の高まりは嬉しいですけど、大切なのはこれからも、ずっとトップリーグにお客さんが来てもらえるようにすることです。僕はプレイヤーなので、グラウンドで魅力を発信することが仕事ですし、あとは日本協会やメディアの方々と「ONE TEAM(ワンチーム)」になって盛り上げていければと思います。


――2023年ワールドカップでは、2019年を超えたい、ベスト4を目指すともおっしゃっていましたね。


そこに行くためにもっともっと努力しなきゃいけないし、スタンダードを上げないとその目標は達成できない、そういう気持ちはすごく大事だと思いますね。まだまだ若いので(苦笑)、休まないで日本代表として出たい。(日本代表が7月に対戦する)イングランド代表はいいチームですし、経験値も上げたいので是非やってみたい。そのためにはトップリーグで頑張って(日本代表に)選ばれないといけない。やはりブレイクダウン、ボールキャリー、パススキルとすべてにおいてもう一段階レベルを上げたい。


――次の2023年のワールドカップはやはり自分がチームを引っ張っていかないといけないという気持ちでしょうか。

そうなっていかないといけないなと思います。ジェイミー(・ジョセフ日本代表HC)の考えていることもわかりますし、次は本当にトップ4や優勝を狙っていくには進化していかなければならないですし、ワールドカップ後はリフレッシュでき、トップに近いコンディションなので、トヨタ自動車で頑張って次の4年後も出られるようにしたいです。


――トップリーグではどういうプレーを見てもらいたいですか。


自分は自分のプレーしかできないので、いつも通りです。シンプルにジャッカルとかを見てもらえれば楽しんでもらえるのかなと思います。


――第2節、1月18日(土)、愛知・豊田スタジアムで行われるトヨタ自動車ヴェルブリッツ対パナソニックワイルドナイツのチケットの売れ行きがかなりいいみたいですね。やはり姫野選手の人気でしょうか?

いやいや、ガッキー(パナソニックのPR稲垣啓太選手)来ますし(笑)。僕じゃなくて(チームメイトのニュージーランド代表No.8キアラン・)リードもいますし、(パナソニック・HO堀江)翔太選手もいますし、その影響だと思います。


――トヨタ自動車には今シーズン、ワールドカップでニュージーランド代表のキャプテンを務めたNo.8キアラン・リード選手も加入しました。どのような選手ですか。

本当にあらゆる部分でコミュニケーション能力が高いなと思いました。基礎能力もしっかりしていますし、小さなところを大事にやる。一流の選手とはこういうものだ、ということを感じましたね。今シーズンはFLにチャレンジしていきたいので、(リードが8番でプレーするので)7番でやって行けたらなと思います。そして(彼から)タックルスキルを盗みたいです。またとても強い選手なので、どうやってあのパワーを生み出しているのか学びたいと思います。


――今シーズンから、トヨタ自動車にディレクター・オブ・ラグビー(総監督)として、元ニュージーランド代表ヘッドコーチだったスティーブ・ハンセン氏が、新ヘッドコーチにサイモン・クロン氏が就任しました。

(ハンセン氏とは)チーム全体では話しましたけど、個人的にはまだあまり話せていません。でも「自分のためじゃなくて、(トヨタ自動車の)ジャージーのために戦っていることを考えろ」と言われたことが印象に残っていますね。(クロンHCは)情熱的で熱い人ですね。話をよく聞いてくれますし、選手の意見を聞いてくれる。コミュニケーションはとりやすいですね。色々なことをキャプテンと話し合って決めたいと言ってくれました。僕もクロンHCもみんなでチームを作りたいという考えで一致しています。


――選手が逮捕される事件が起きて昨年6月からチームは活動を自粛し、昨年11月からトップリーグに向けて活動を再開しました。


あまり時間がなく、戦術を落とし込むのは大変でした。ヘッドコーチも変わったので、やることも変わります。2ヶ月でチームを成熟させていくのは難しいですけど、チャレンジでもあります。練習時間はもちろんそうですし、練習以外でもハードワークしないといけない。そこを僕はキャプテンとしてチームをドライブしないといけないですから。


――キャプテンも3年目となりました。


クロンHCが選手みんなに聞いたら姫野が良いということで、任命してくれました。日本代表の活動があったので、チームを離れていたのですが、そうやってみんなが思ってくれるのが嬉しくて、断る理由はありませんでした。トヨタ自動車のキャプテンとして優勝したい。自分の生まれ育った土地のチームで、ヴェルブリッツを見ながら育ちました。こんな光栄なことはありません。


――副将は、同じくワールドカップ日本代表メンバーのひとり、SH茂野海人ですね。


僕とクロンHCと話し合って、昨シーズンに引き続き(茂野)海人にお願いしました。やはり経験値高いですし、リーダーシップが取れる選手だと思っています。


――トヨタ自動車ヴェルブリッツが初優勝するために必要なことはなんですか?


すべてにおいてディテールを詰めることです。時間がなかったこともあって、やはりどれだけディテールを詰められるかは大事です。(チームは活動を自粛していたが)僕は日本代表にいたので、ヴェルブリッツのみんなの苦労を目の前で見られなかった。でもチームメイトが、僕がワールドカップで人に感動とパワーを与えられる仕事に集中させてくれました。本当に感謝しています。チームの絆は深まったと思うし、さらに良いチームになったと思うので、みんなで優勝して笑いたい。僕も体を張ります。楽しみです。


――個人の目標はなんですか?

ベストフィフティーン(ベスト15)とMVPを取りたいですね。そのためには、タックルをはじめすべてのプレーについてもう一つレベルを上げていかないといけない。


――昨シーズンは試合に負けて泣いていましたが、今シーズンは?


もう(負けて)泣かないです! (ワールドカップを経て)強くなったと思います。いろんなことを経験してリーダーとしての幅も広がりましたし、余裕も出てきたと思います。


――いわゆるにわかファン、新しいファンは、姫野選手やトップリーグのチームにワールドカップのようなプレーを期待しています。


特に変わることはないです。ラグビーは面白いので、ヴェルブリッツの僕らのプレーを見てもらえれば、またラグビーの魅力を知ってもらえると思います!

PROFILE:姫野和樹 Kazuki HIMENO 1994年7月27日生まれ、愛知県出身。187cm・108kg。ポジションはナンバーエイトやフランカーを務める。中学でラグビーを始め、地元の春日丘高校から大学ラグビー屈指の強豪である帝京大学を経て2017年にトップリーグ・トヨタ自動車ヴェルブリッツに加入。初年度から主将を任され、新人賞とベスト15をダブル受賞。ラグビーワールドカップ2019日本大会での大活躍により、“ジャッカル”が代名詞に。2020年シーズンもトヨタ自動車ヴェルブリッツで主将をつとめ、トップリーグ制覇を狙う。 Interview&Text:Kenji Saito   photos:Kenji Saito FAR EAST PRESS/AFLO